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相続の限定承認の意味と注意点

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年10月10日

1 限定承認について

⑴ 相続の方法は3種類ある

相続が起きたとき、相続人の方がとることができる相続の方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。

⑵ 限定承認

このうち、限定承認とは、相続財産を責任の限度として相続することです。

被相続人のプラスの財産よりもマイナスの負債が多い場合に、相続人の方の負担を軽減できる制度なのですが、「相続財産を責任の限度として相続する」という言葉だけでは抽象的すぎて分かりにくいかと思います。

そこで、典型的なケースを挙げてみます。

被相続人が、多くの負債(借金)を抱えていて、しかも財産はほとんど持っていない場合、そのまますべて相続してしまう(単純承認)と、相続人は得られる財産より負担する借金の方が大きくなってしまいます。

この場合、限定承認をすると、被相続人の財産の価額の限度でのみ、借金も相続できます。

イメージとしては、仮に被相続人の財産が100万円、借金が1000万円であった場合、限定承認をすると100万円の限度でのみ借金を相続することができます。

ただし、後述するとおり、制約が多い上に手続きも煩雑なので、現状としては単純承認、相続放棄と比べて利用されることはかなり少ないです。

2 限定承認をする場合の注意点

⑴ 相続財産の内容を正確に調べる必要がある

限定承認をするかどうかを判断するためには、そもそも被相続人の財産と負債、どちらが多いのかを明らかにしなければなりません。

限定承認をしなくてもよいのにこの手続きを行うと、かえって損をしてしまう可能性もあります。

被相続人がご自身の財産や負債を正確にまとめた資料を作っていることは少ないです。

そのため、一般的には、プラスの財産の方が多いのか、マイナスの負債の方が多いのかは、相続が開始した直後では分かりません。

亡くなられてから、相続人の方が調査することになりますが、本人が既にいないので、調べることは非常に大変です。

特に借金は、被相続人が家族の方に隠している場合もあり、調査には想像以上の時間と労力がかかります。

⑵ 限定承認には期限がある

それにもかかわらず、限定承認は、相続開始を知った時、つまり多くの場合は被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に行わなければならないのが原則です。

3か月を過ぎてしまうと、被相続人の財産と負債をすべて相続することになってしまいます。

この期限は法律で決められているものです。

例外として、この3か月の期間を延ばすことはできます。

しかしその場合、多数にわたる必要書類を揃え、家庭裁判所への申立手続きをするとともに、3か月以内に限定承認の判断ができない理由を説明する必要があります。

不備があると申立てが認められないことがあるので、専門家でない方が手続きをするのはリスクを伴います。

⑶ 相続財産を処分してはいけない

被相続人の不動産の一部を売ったり、預貯金を引き出して被相続人の借金の一部を返したりすると、被相続人の財産と負債をすべて相続することになる場合があります。

そのため、限定承認をするべきか判断がついていない段階では、被相続人の財産には手を付けない方が無難です。

さらに、限定承認は相続人全員で行わなければならないことと関連して、相続人のうち誰か一人でも相続財産を処分してしまうと、限定承認をすることができなくなります。

このことには十分な注意が必要なので、限定承認を検討する場合、他の相続人にも事前に伝えておく必要があります。

⑷ 限定承認は条件が多く、手続きも煩雑

相続放棄は相続人それぞれが自分の判断により、自分だけで手続きすることができます。

それに対して、限定承認は「法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員が共同して」行わなければなりません。

法定相続人の一部が行方不明であれば、「不在者の財産管理人」を家庭裁判所に選んでもらった上で、その人と一緒に限定承認の手続きをする必要があります。

限定承認では、「限定承認の申述書」という書類を家庭裁判所に提出します。

申述書には、相続人の戸籍謄本、被相続人の財産・負債に関する資料(相続財産目録)、被相続人の除籍謄本など多数の書類を集めて添付する必要があります。

提出先の家庭裁判所は、被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所となりますので、離れた場所に住んでいる相続人の方には移動の負担が生じます。

その他、債権申出の広告、鑑定人選任の申立て、配当弁済、残余財産の処理など、専門的かつ多数の手続きを裁判所との間で経なければなりません。

⑸ 複雑な税金の計算、手続きが生じる

税法上の収入金額の計算の特例として、時価による資産の譲渡があると、みなし譲渡所得課税がなされます。

限定承認をした場合に、相続人が被相続人から現金以外の財産を受け取り、被相続人に利益があったとされるケースでは、被相続人にみなし譲渡所得課税が課されることになるのです。

例えば、被相続人が生前に土地や宝石などを購入し、のちにその価格が高騰し、被相続人に利益が出るタイミングで限定承認を行うと、被相続人には所得税が課せられます。

そのため、相続人は被相続人の所得税について準確定申告を行い、所得税の申告・納付をする必要があります。

これを忘れてしまうと、申告漏れとなってしまいますので注意が必要です。

3 相続のお悩みは私たちにご相談を

このように、限定承認は手続きがとても複雑な上、気を付けておかないと相続人に不利益が生じるポイントが多くあります。

私たちは、相続事件の経験が豊富な専門家がお悩みに対応し、最適な問題解決の検討にあたっています。

さらに、税金の計算についても、グループ内に税理士事務所を設けているほか、外部との連携も図っています。

被相続人の財産をどうやって調べればよいのか、どの相続方法を選べばよいのか、手続きはどうやって行えばよいのか、税金はいくらになるのかなど、多くの疑問、不安について相談に乗り、ご納得いただけるまで回答し、サポートいたします。

私たちの事務所はJR名古屋駅から徒歩2分の場所にあり、名古屋周辺で相続にお悩みの方に気軽にお越しいただけるかと思います。

また、お忙しい方のため、日程調整を行うことにより、土日や平日夜間も対応することが可能ですので、ご希望の方はお問合せ時にお申し付けください。

相続に関するご相談は原則無料です。

名古屋近郊で相続にお悩みの方は、どうぞ私たちの無料相談をご利用ください。

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