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自分で相続手続きをするときの注意点

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年4月15日

1 相続手続きとは

相続が発生したとしても、遺産である不動産や預貯金、有価証券が、自動的に相続人の名義に変更されるわけではありません。

遺産を取得したり、名義を変更したりするためには、一つ一つの財産について相続手続きを行う必要があります

つまり、相続財産を取得することになった相続人らが、それぞれの財産に応じて払戻し、解約、名義変更といった手続きを行わなければ、自らの財産として扱うことができないということです。

こうした手続きを行わなければ、手続きを行わないことに対する罰金が発生する財産もありますし、受け取る際に手数料が発生するようになる財産もあります。

これらの相続手続きを行うタイミングは、遺産分割協議が成立した後、誰がどの財産を取得することになったのかが決まってから始めることが一般的ですが、場合によっては遺産分割協議と並行して行うこともあります。

この記事では、このような相続手続きを自分で行うときに、具体的にどのような点に注意する必要があるのかについて説明します。

2 相続手続きの前に準備すべきこと

⑴ 相続財産の内容と評価額の調査

ア 相続財産の内容の調査について

遺産分割協議をするにあたっては、どのような遺産があるかを確定させる必要があります

相続財産の内容が明らかでないのであれば、確定させるための調査をしなければなりません

調査を進めるにあたっては、どのような種類の相続財産があるのかだけではなく、現在はどのように使用されており、誰が管理しているのかといった状態についても整理しておくことが必要だといえます。

まず、ご自身の記憶や亡くなった方の記録などからどのような相続財産があるのかを整理し、すでに相続財産が管理されている状態であれば、そのような財産に応じて、不動産の権利証や預金通帳といった資料を確認されるのがよいかと思います。

しかし、亡くなった方と疎遠であったり離れて暮らしていたりする場合等、相続財産の内容についてご自身もよく分からないという場合もあるのではないでしょうか

そのような場合には、弁護士などの専門家に依頼するなどして、相続財産の調査を進めるのがおすすめです

弁護士に依頼をすれば、弁護士は、不動産の登記簿謄本、預貯金の残高証明書などの公的な証明書を取得する、あるいは、被相続人の残した所得税の申告書、株式に対する配当通知や取引残高通知書などの財産に関係する書類を取得するなどして、相続財産の内容の調査を代理で進めていってもらうことができます。

このような場合以外にも、亡くなった方が相続人であったときの相続税の申告書などがあれば、そこから様々な事項を調査できる場合もあるかと思います。

イ 相続財産の評価額の調査について

それぞれの相続財産がいくらの価値があるのかというのは、実は重要な問題です。

預貯金などであれば数字上で明らかであるかもしれませんが、不動産や株式といった財産のように価額の「評価」が必要な財産については、遺産分割協議をするにあたって、評価の方法や内容が争いになりやすいところです。

評価の方法は、不動産、株式等の財産ごとに種々の方式があるため、弁護士などの専門家の協力を得て、明確にしておく必要があります。

⑵ 相続人の調査

遺産分割協議をするにあたっては、相続人を確定させておくことも前提になります。

相続人を確定させるためには、少なくとも、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍を取得し、その身分関係を調査する必要があります

さらに、相続資格のある者が現在も生きているかどうかを確認するために相続人それぞれの現在の戸籍も必要ですし、連絡先が分からない相続人がいるのであれば、遺産分割協議の申入れをするために相続人の住所を確認する書類を取り寄せなければならない場合もあります。

相続人であれば、役所で戸籍謄本などの書類を取得することができます。

しかし、必要な書類の内容や取得方法が複雑な場合もあるため、ご自身で進めることが難しいときには、弁護士などの専門家に依頼して調査してもらうのがよいかと思います。

3 不動産の相続手続きについて

⑴ 不動産を相続した場合の相続登記の方法

遺産に不動産がある場合、相続登記をして名義を変更する必要があります

相続登記をする場合のパターンとしては、①遺産分割協議をして相続登記をする場合、②遺言の内容に従って相続登記をする場合、③法定相続分で相続登記をする場合などがあります。

相続登記に必要な書類は、①から③までのそれぞれのパターンで異なります。

相続登記では、登記申請書、登記簿謄本、被相続人の住民票の除票、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の現在の戸籍謄本、遺産分割協議書または遺言書、相続人全員の印鑑登録証明書、物件を取得する相続人の住民票、固定資産税評価証明書といった書類が必要になります。

それぞれのケースでどのような書類が必要なのかが分からない場合には、専門家にご相談ください。

⑵ 遺産分割協議をして相続登記をする場合の注意点

遺言がない場合で、相続人が複数であり、かつ、特定の相続人が不動産を取得することになるときは、遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議書には、被相続人の最後の住所の他、名義変更の対象になる不動産の所在、地番、家屋番号などの情報を正確に記載する必要があります

これらの記載に誤りがあると、遺産分割協議書を作成し直さなければなりません。

また、遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要もあります

せっかく遺産分割協議書を作成したとしても、実印の印影が不鮮明である場合には実印を押し直さなければならないこともあります。

さらに、遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、印鑑証明書に記載された住所を記載する必要もあります

これらの記載に誤りがある場合も、遺産分割協議書を作成し直す必要があることもありますので注意が必要です。

このように、相続登記をするための遺産分割協議書の作成方法には注意をすべき点が多くあるため、慎重に進めていくべきです。

4 預貯金や有価証券の払戻し・名義変更について

⑴ 金融機関での相続手続きの流れ

ア 金融機関への届出

相続が開始すると、被相続人名義の口座がある金融機関に、被相続人が死亡したことを届け出る必要があります

口座の名義人が亡くなっても、自動的に凍結手続きがされるわけではなく、死亡したことの届出をしないと、原則として、その口座は凍結されません。

凍結されるまでに、他の相続人が勝手に預貯金を引き出してしまうおそれもありますので、これを防止するために速やかにこの届出をした方がよいと思われます。

被相続人が死亡したことの届出をすると口座が凍結されますが、公共料金等の引落しができなくなる場合もありますので、先に引落し口座を変更しておくなどの対策をしておく方がよいと思います。

イ 相続届の提出

金融機関から相続届の書式を受け取って作成した上で、金融機関に届出を提出します

この書類には、被相続人の本籍地、最終住所地などの必要事項を記入する必要があります。

相続届を作成するにあたっては、原則として、相続人全員の署名・押印が必要です。

相続届の添付書類としては、原則として、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、相続人の印鑑登録証明書が必要です。

相続届に相続人全員の署名や押印をする代わりに、遺言書や遺産分割協議書などの書類を提出する場合もあります。

ウ 相続届提出後から入金まで

相続届を提出した後は、金融機関にもよりますが、2週間から3週間ほどで、指定した口座への入金や名義変更がされることが多いです。

口座の解約金の受取方法としては、金融機関によって異なりますが、相続人代表者が全額を一括して受け取る方法や、各相続人に払い戻す金額を指定して振り込んでもらう方法があります。

⑵ 遺産分割協議をして預貯金や有価証券の払戻し・名義変更をする場合の注意点

預貯金・有価証券についても、相続人が複数の場合は、遺産分割協議書を作成するか、金融機関・証券会社が作成した手続書類を作成する必要があります

原則として、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付すべきこと、相続人全員が署名し、印鑑証明書に記載された住所を記載すべきことは、不動産の相続登記の場合と同様です。

預貯金・有価証券の場合は、提出する印鑑証明書が6か月以内に発行されたもの(一部の金融機関・証券会社では、3か月以内に発行されたもの)である必要があるため、ご注意ください。

したがって、印鑑証明書が期限切れになってしまった場合は、新たに印鑑証明書を提出し直す必要があります。

5 相続手続きについてのご相談

このように、相続手続きは複雑、かつ煩雑であり、さまざまな種類の手続きがあります

そのため、自分で相続手続きをする場合には、多くの点に注意しながら進めなければトラブルになりかねません。

自分でこれらの手続きをする自信がない場合や、これらの手続きをする時間的な余裕がない場合には、相続手続きを弁護士などの専門家に委ねることもできますのでご検討ください

名古屋にお住まいで相続についてお悩みの方は、私たちにお気軽にご相談ください。

相続についての案件を集中的に取り扱っている弁護士などの専門家が、手続きを進めてさせていただき、お悩みの解決に向けて尽力いたします。

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